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ヨタの日々

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2017-09-09 :-)

_ [きみの声を届けたい]きみの声を届けたい を見ました(2回目)

あるいは「紫音」というタイトルでもよいのかと。ありがち過ぎるか。

もう上映終了している映画館も多々あります。うちの近所のTOHOシネマズも今週末で上映終了するので見てきました。目から汗がダバアしました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これは誰の物語か。

なぎさについて

主人公枠ですがこの作品の中でもっともフワフワしている主人公です。他の友人達が自分の将来をしっかり考えているのに対してまだ なぎさは決めていません。その理由は説明されてないけど、自分の言葉が、自分の言霊がどのような影響があるのか、あるいは他のひとの役に立たないのではにか、と考えてるのではないか。

なぎさの家庭はたぶん両親が再婚してますよね。父親は実父だろうけど、母親のことを名前で読んでいるし、そのとき父親から「『お母さん』だろ」と注意されています。ゆえにいまの母親は実父の再婚相手だと思われます。ただ、仲は悪くないようです。では生みの母親はどうなったのか、というのは説明されていません。遺影や記念写真といったものも描かれていないので、死別したわけじゃなさそうです。しかし恐らくなぎさの言霊が影響して親は離婚したのではないかと。紫音が朱音のことを「もう諦めている」等といった発言をしたときに なぎさが過剰に反応している(号泣する)ので、なぎさは母親のことについて過敏になっているのではないかと。自分の言霊のせいで母親に悪影響を及ぼしたのではないかと。

なぎさは言霊の強さ(良くも悪くも)を知っているので、自分の本心を語るのを恐れているのではないか。本心を言ったために親に悪影響を及ぼしたことがあるから、自分は本心を出せないのではないか。だから本心を出せる かえでのことを正直だ、等と言って羨ましいと思っているのではいか。

しかし、それは紫音と出会ってから、紫音と出会ってからの数日で、なぎさは自分の本心を出していきます。それはなぎさが、紫音に対して、かえでに対して、夕に対してなぎさが泣いてみせたことで、なぎさは自分の本心を出すことに慣れて行ったのではないか。かえでに対して殴りつけたことからも なぎさは本心を出せるようになったことが分かります。アクアマリンが取り壊される前日に寺の鐘のところで紫音に対して叫んだことも なぎさが本心を出せるようになったことがわかります。たぶん今までは本心を言うとそれが言霊となり相手を傷つける/傷つけたことがあるから、本心を出すのが怖かったのではないか。でも本心を出して、自分の気持ちを相手に伝えることが大切なのだと気づいたのでしょう。

紫音について

じつは主人公。AKIRAでいうアキラの枠です。本作は紫音を中心に物語が進みます。1回目に見たときにも書いたけど、紫音の言霊が朱音に届かないのは紫音が孤独だからです。紫音は引っ越しを繰り返しているので友人がいません。だから自分ひとりで何でもやろうとしてしまいます。そこが紫音と朱音との対比になっています。アクアマリンで見つけたカセットテープを再生したときのシーン(朱音が歌っている)では、朱音は紫音のために歌い、紫音はアクアマリンの常連客にあやされています。朱音はひとりではなく常連客たちにも支えられています。しかし紫音にはそれがありません。だから本作は、最初は紫音はひとりでしたが、まず なぎさが友人となり、次に かえで、雫が友人となり、あやめ、乙葉が友人となり、商店街のひとたちとラジオを通じて繋がり、紫音はひとりではなくなっていきます。だから最後は紫音の言霊が朱音に届きます。しかし、そのことに紫音は自分では気づいていないかもしれません。アクアマリンが取り壊された後に「なぎさ達が集まり、商店街の人達が集まり、歌った」という事象が、紫音はひとりではなくなったということを意味しています。

かえでについて

ものすごい負けず嫌いです。夕との軋轢が描かれていますが、かえでは、幼少のころから勉強や運動等で夕と差があることを思い知らされ、それが悔しくて、その感情が 夕のことを悪く言う という態度に現れてしまいます。なぎさと違い かえでは正直に本心を出していますが、ただ、それが悪い言霊となってしまっています。悪い言霊は自分に跳ね返ってくるので結局かえでは夕のことを悪く言うと、自分に跳ね返ってきてしまうのです。負の連鎖です。

ただ、そんな かえでも夕が憎いのではなく、実力差があるので悔しいのだ、そして夕はかえでのライバルであり、追い越すべき目標でもあるので、夕に強くいてほしい、自分の目標であってほしいということをラジオで夕に伝えます。これがかえでの本心です。かえでは本心で夕と相対したので、言霊を発動できるようになりました(ラストのシーン)

夕について

夕は祖父が強すぎるので「浜須賀の孫」としか認識されていないこと、「浜須賀 夕」として認識されていないことを悩んでいます。しかし夕はそれでも祖父を尊敬しているので、祖父のように強くなろうとしています。それは幼少のころから夕を突き動かす動機となっています。おそらくひたむきにただ祖父だけを見て夕は努力してきたのでしょう。しかしそのひたむきさがかえって周囲との軋轢を生んでしまっています。幼少のころからの かえでとの軋轢もそうですし、現在部活での周囲との軋轢もそうです。部活では夕が部長となりますが、ストイックすぎて周囲の部員がついてこれていません。それでもそんな孤独に耐えられるのは、それは祖父が同じく孤独であっても強いからです。孤立無援であろうとも強い祖父を幼少のころから見ている夕は、自分も孤独であろうとも強くあろうとします。しかし自分は孤独ではいられない、独りではいられない、追い越そうとしてくるライバルが必要であることに気づきます。それが夕から かえでに対してのラジオ放送です。夕は自分はひとりでは強くなれない、いつでも挑んでくる かえでという存在が必要なのだと言っています。まあある意味身勝手ではありますが、やはり独りでは生きていけないという自分の本心に気づいたことにより、言霊を発動できるようになりました(ラストのシーン)